感情労働という言葉を耳にしてどのような仕事なのか気になっている人がいると思います。
また、肉体労働や頭脳労働との違いが知りたい人もいますよね。
当記事では、感情労働について解説するので、感情労働の意味や職種を知りたい人はぜひ読んでみてください。
目次
感情労働とは
感情労働とは、「労働内容に人間の感情の抑制や忍耐などが必要とされる労働」のことをいいます。
かつては、感情労働は頭脳労働の一種とされていましたが、近年は労働内容に人間の感情が大きく含まれるものを中心に区別される傾向があります。
感情労働は、アイディアや発想を求められる業務が多いのに対して、感情労働は、顧客へサービスなどを提供するために、感情の抑制などを求められる業務なのが特徴です。
たとえば、感情労働には、相手のミスや気分によって多少の無茶な主張や要求であっても、感情をコントロールし適切な対応やサービスを提供する必要のある労働が区分されます。
また、インターネットやSNSの発達により企業イメージを守るために、業務外の行動においても制約が発生する企業もあります。このように普段から、周囲の目線を気にしなければならないのも、感情労働の1つになるかもしれません。
感情労働の職種
感情労働の職種は「サービス業」や「医療・介護職」「受付係」など様々あります。
【感情労働の職種一覧】 |
・客室乗務員・看護師・介護士・ヘルプデスク・広報・秘書 ・受付係・電話オペレーター・ドアマン・案内係・営業 |
たとえば、アパレル店員は、顧客とのやりとりで感情の抑制や忍耐を必要とされるため感情労働の職種に含まれます。
なお、紹介していない職種であっても、苦情処理や顧客対応などにより、感情のコントロールが必要な場合は感情労働のある職種に含まれます。
頭脳労働や肉体労働との違い
感情労働と頭脳労働や肉体労働の違いは、「感情の抑制が仕事の成果に影響するかどうか」です。
具体的には、感情労働が「感情を抑制して顧客や相談者などに価値を提供すること」で評価を受けられるのに対して、肉体労働は「運搬や組み立てなど身体を動かす量や精度」によって評価を受けます。
また、頭脳労働は、「アイデア」や「知識」「情報の処理能力」などを示すことが評価に繋がります。
このように、労働の価値に繋がる部分によって「感情労働」「頭脳労働」「肉体労働」が区分されます。
なお、肉体労働については「肉体労働とは?仕事や年収を一覧で解説」を参考にしてみてください。
感情労働では従業員のストレス問題が課題
感情労働が抱える課題は、従業員のストレス問題です。
業務で感情の抑制や忍耐を求められるため、知らず知らずの内に精神的にストレスを抱え、メンタルの不調に繋がる場合があります。
考えられるものとしては、心的な疲労や作業効率の低下、無気力になるなどがあります。このような状態は、バーンアウトや無気力症候群とも呼ばれ、現代社会の問題の1つになっています。
このような課題は、従業員の健康問題や生産性低下に繋がるため、企業として従業員のメンタルケアを行う必要があります。
しかし、企業側からサポートを受けられない場合もあります。そのため、個人としてもストレスを溜めないように対策が必要です。
感情労働のストレスが周囲に伝わりづらいことを理解する必要がある
感情労働は、働きによるストレスや疲労が周囲に伝わりづらい労働です。
労働者が感情をコントロールする時にどの程度ストレスを受けているかが目に見えるわけではないからです。
また、感情のコントロールは、社会人として出来て当然と見なされる思われる可能性もあります。
たとえば、お客様からの問い合わせやクレーム対応は、仕事なのでやって当然と思われてしまい、周囲からのサポートを得られない可能性があるのです。
感情労働の問題に必要な対策
感情労働をしている人がストレスを溜めないように必要な対策は、「運動」「ストレスに対する理解」「相談する」です。
心の疲れや身体の疲れは、ストレスに繋がります。そのため、適度な運動を行うことで身体をリラックスさせてストレスの解消を図ります。
また、ストレスを感じていることを理解して、無理をしないことも大切です。
ほかにも、打ち明けられる悩みがある場合は誰かに相談してみるのも1つの手段です。
なお、厚生労働省が運営する「ポジティブ・シェアリング」では、リラクセーションヨガやメンタルヘルスケアについて発信しています。
相談窓口も設置されているため、ストレスに悩んでいる方は利用を検討してみましょう
ただし、どのような対策をとってもストレスが溜まるという人は、無理せずに異動や転職を検討してみてください。どのような仕事でも感情労働が発生する可能性はありますが、職種や環境によって改善される可能性があります。